家族のネガティブにのみこまれないコツ

夕方、食卓でたわいない話をしているのに、夫の口が「へ」の字。

「え、わたし何かした?」と、こちらの顔までかたくなる——そんな時、まず大事なのは「相手の気分は相手のもの。わたしの気分はわたしが決める」と思い出すことです。

暗いできごと一つは、明るいできごと三つでようやくつり合いを取れる、とよく言われます。

つまり、家の中で気分が下がる場面に出会ったら、無理に相手を持ち上げるより、「自分の明るさを三つ足す」ほうが近道です。

たとえば——

・帰宅直後で夫がむすっとしていたら、あいさつ+一言ねぎらい。「おかえり。おつかれさま」

・そのあと、用事だけていねいに伝えて、いったん離れる。「ごはん温めるね。食べるとき呼んでね」

・自分の気分を上げる小さな三つを足す。湯気の立つお茶を入れる、好きな曲を一曲だけ聞く、外の空気を三分すう。

相手がピリピリしているときは、軽い一言をそえて、すっと席を外せばOK。

「ちょっとお茶いれてくるね」「洗たく物、取りこんでくるね」と、やわらかく離れます。長い説明や正しさの話は、火に油です。空気が重いときほど、短く・静かに・さっと離れるが効きます。

相手をさらに暗くしないための小さな一歩は、「先にねぎらう」こと。

例はこれだけで十分です——

おかえり。おつかれさま

ここで大切なのは、評価や正しさを言わないこと。「だから言ったでしょ」は相手の心に冷たい風を入れます。ねぎらい→用件→いったん離れる、の順がラクです。

自分を守るための習慣づけも効きます。

朝、ノートに「うれしかった三つ」を書く。夜、からだをゆるめる深呼吸を三回。週に一度、気分が明るくなる友人に短いメッセージを送る。どれもお金はいりません。小さな明かりを毎日ともすことで、家の中の空気にのみこまれず、「わたしの暮らし」を取りもどせます。

もし相手の暗さが長く続く時は、ムリに引っぱり上げようとせず、必要なら専門の場につなぐ選択も。あなたまで沈まないことが、家全体のためにもなります。

自分のきげんは自分で育てる。これが、ネガティブに負けないいちばんの近道です。