
人間関係で悩んでいるとき、私たちはつい、相手に変わってほしいと思ってしまいます。
夫婦だったら、「もう少し優しくしてほしい」「ちゃんと話を聞いてほしい」、親子だったら、「もっとしっかりしてほしい」「何度も同じことを言わせないでほしい」、職場だったら、「もう少し周りのことを考えてほしい」と。
相手が少し変わってくれたら、もっといい関係になれるのに……。
そんなふうに感じることは、誰にでもあると思います。
でも、他人を自分の思いどおりに変えることはできません。だからといって、何もできないわけではありません。
変えられるのは、自分の「相手を見る目」です。
たとえば、夫に対して、「いつも自分のことばかり」「家のことを何もしてくれない」と思っているとします。一度そう思い始めると、相手の嫌なところばかりが目につきます。たまに家事をしてくれても「それくらいやって当然」。何か話しかけてくれても「どうせ自分の都合でしょ」。相手が何をしても、マイナスの方向に受け取ってしまうのです。
これは親子関係でも同じです。「うちの子は何をするにも遅い」と思っていると、朝の支度や宿題を始めるのが遅いことばかり気になります。でも、違う角度から見ると、一つひとつのことにじっくり取り組める子なのかもしれません。
職場でも「あの人は仕事が遅い」と思っていると、遅さばかりが気になります。でも実は、細かいところまで丁寧に確認しているのかもしれません。
一度「この人はこういう人だ」と思うと、その印象に合うところばかり見つけやすくなるものです。そして、そんな気持ちは言葉にしなくても、表情や態度から相手に伝わることがあります。
「自分のことをよく思っていないんだな」そう感じた相手が反発したり、距離を取ったりする。するとこちらも、ますます相手の嫌なところが目につく。そんな悪循環になることもあります。
だからこそ、少しだけ見方を変えてみます。「この人のいいところって、どこだろう?」
夫だったら、仕事を真面目に頑張っていたり、困ったときに助けてくれたりする。子どもだったら、友達に優しかったり、好きなことには夢中になれたりする。職場の人だったら、仕事が丁寧だったり、人の話をよく聞いてくれたりする。
これまで見えていなかった部分に気づくかもしれません。
もちろん、嫌なところがなくなるわけではありません。嫌なことを我慢したり、無理やり相手を褒めたりする必要もありません。
ただ、マイナスだけでなく、プラスの部分にも目を向けてみるのです。
自分の見方が変わると、言葉や態度も少しずつ変わります。「自分のいいところも見てくれているんだな」そう感じた相手が、安心したり、素直になれたりすることもあるでしょう。
だからと言って、相手が必ず変わるとは限りません。相手がどうするかは、相手自身が決めることです。でも、他人を変えることはできなくても、自分を変えることはできます。そして、自分が変わると、周りの人もその影響を受けます。
人間関係が動き始めるきっかけは、相手を変えようとすることではなく、自分の見方を少し変えてみることにあるのかもしれません。