
「この人と話していると、なんだか安心する」「また、この人に話を聞いてもらいたい」。そんなふうに感じる人が、相手の話を聞くときに、どんな心構えを持っているのかをお伝えします。
1.相手の話に100%耳を傾ける
人の話を聞いていると、つい「私だったらこうする」「それは違うんじゃない?」と、自分の考えが浮かんできます。相手が話し終わる前に、次に何を言おうか考えていることもあると思います。
聞き上手な人は、そんな自分の考えをいったん横に置いて、相手の話に耳を傾けます。相手が何を話そうとしているのか、その人の目線で知ろうとします。「どうしてそう思ったんだろう?」「どんなことがあって、そう感じたんだろう?」まるで探偵のように、相手のことをもっと知りたいという気持ちで聞いていきます。
例えば、友人が「最近、仕事がつまらなくて」と話し始めたとします。そのとき「私も前にそうだったよ」「転職してみたら?」と自分の話やアドバイスを始める前に、「どんなところがつまらないと感じるの?」と聞いてみる。すると、仕事内容ではなく、職場で自分の意見を言えないことがつらいのかもしれません。
また、話を聞きながら「それって、こういうこと?」と確認することもあります。そこで「ううん、そうじゃなくてね」と返ってきたら、改めて聞けばいいのです。相手の話を最初から全部わかろうとするより、少しずつ知っていくつもりで聞く方が、会話も自然に続いていきます。
最初の一言だけでは、相手が本当に伝えたいことはわからないものです。自分とは違う考え方でも「そういうふうに思ったんだね」と受け止めてもらえると、相手も安心して続きを話せるようになります。
2.相手の気持ちに思いをはせる
聞き上手な人は、出来事そのものだけでなく、そのとき相手がどんな気持ちだったのかにも心を向けています。
例えば、妻が夫に「今日、仕事で嫌なことがあったの」と話したとします。夫は妻の力になりたくて、「上司にはっきり言えばいいのに」「そんなに嫌なら辞めたら?」と言うかもしれません。もちろん、妻が具体的な解決策を求めているときには、そんな意見が役に立つこともあります。
でも、その日はただ、悔しかったことや悲しかったことを聞いてほしいのかもしれません。「それは嫌だったね」「そのとき、どんな気持ちだったの?」そう聞いてもらえると、妻は「私の気持ちをわかろうとしてくれている」と感じるでしょう。話しているうちに気持ちが落ち着いて、自分でどうしたいかが見えてくることもあります。
子どもが「学校に行きたくない」と言ったときも同じです。「どうして?」「行かなきゃダメでしょ」と返す前に、「何か嫌なことがあったの?」と聞いてみる。友人から「最近、母との電話がしんどい」と相談されたときも、親子だから仲良くするべきだと決めつけず、どんなやりとりがあって、どう感じたのかを聞いてみる。
誰かが落ち込んでいると、励ましたくなることもあります。「気にしない方がいいよ」と言ってあげたくなることもあるでしょう。ただ、相手にとっては、今は元気を出すよりも、まずその気持ちを誰かにわかってほしい時間なのかもしれません。
同じ出来事でも、感じ方は人それぞれです。相手の気持ちに思いをはせることが、その人を理解することにつながっていくのだと思います。
3.「話を聞かせてくれてありがとう」と伝える
人に悩みや本音を打ち明けるときは、「こんな話をしてもいいのかな」「どう思われるだろう」と、少し勇気がいるものです。普段は明るく振る舞っている人ほど、弱音を見せるのをためらうこともあります。
そんなとき、話し終わったあとに「話してくれてありがとう」「聞かせてもらえてうれしかったよ」と言われたら、どうでしょう。「話してよかった」「またこの人に話したい」と感じるのではないでしょうか。
例えば、長い間抱えていた夫婦の悩みを友人に打ち明けたとき。「大変だったね」だけでなく、「そんな大切な話を聞かせてくれてありがとう」と言ってもらえたら、自分の気持ちを大切に受け取ってもらえたように感じると思います。
何か気の利いた返事をしなければと思うと、聞いている方も緊張してしまいます。でも、答えが見つからない話もあります。そんなときこそ、最後まで聞いて「話してくれてありがとう」と伝えるだけで、相手の心に残ることがあると思います。
感謝を伝えることは、特別な言葉をかけることではありません。相手が心を開いて話してくれたことを当たり前だと思わず、その気持ちをそのまま言葉にすることだと思います。
相づちの打ち方や質問の仕方も、話を聞くうえで役立ちます。でも、それ以上に大切なのは、「目の前の人をもっと知りたい、理解したい」という気持ちだと思います。
相手に興味を持ち、その気持ちに思いをはせ、話してくれたことに感謝する。聞き上手になるには、そんな心構えを意識することが大切だな、と思います。