「今度こそ違う人」と思ったのに、また同じことで悩むのはなぜ?

 

「前の夫(妻)とはまったく違う人を選んだつもりだったのに、気づけば同じことで悩んでいる」そんな話を聞くことがあります。

パートナーを選ぶとき、私たちは思っている以上に、子どもの頃の親との関係に影響を受けることがあります。女性なら父親、男性なら母親との関係が、相手を見るときの基準になっている場合もあります。

たとえば、父親が無口で家族に関心を示さない人だった女性が、「私は絶対に、父とは正反対のやさしくて話を聞いてくれる人を選ぶ」と思ったとします。そして実際に、よく話を聞いてくれて、気づかいもできる男性と出会う。最初は「この人なら大丈夫」と思います。けれど、つき合いが長くなり、お互いに遠慮がなくなってくると、その人の中にある「自分の話ばかりする」「こちらの気持ちを聞かずに決める」といった部分が気になり始めることがあります。すると、「結局、この人も父と同じじゃない」と思うようになります。

また、子どもの頃、父親に大きな声で叱られるのが怖かった女性は、大人になってからも男性の強い口調にとても敏感になることがあります。夫が少し声を荒らげただけなのに、体が固まる。何日もその言葉が頭から離れない。「また責められる」と感じてしまう。

これは、今の夫だけを見て反応しているのではなく、昔の怖かった気持ちまで一緒によみがえっているからかもしれません。

男性の場合は、母親との関係が影響することもあります。

たとえば、母親がいつも不機嫌で、顔色をうかがいながら育った男性。明るく穏やかな女性と結婚したのに、妻が疲れて口数が少なくなるだけで、「何か怒っているのかな」と落ち着かなくなる。機嫌を取ろうとしてあれこれ世話を焼き、妻には「放っておいて」と言われてしまう。

反対に、母親に何でも決められてきた男性が、自分の意見を尊重してくれる女性を選んだはずなのに、妻からちょっと提案されただけで「また指図された」と感じてしまうこともあります。

つまり、そっくりな人を選んでも、真反対な人を選んでも、自分の中に残っている「親への引っかかり」がそのままだと、相手の似た部分に目が行きやすくなるのです。

だから、相手を変えることだけを考えても、同じ苦しさをくり返してしまうことがあります。大切なのは、まず自分の中にある昔の気持ちに気づくことです。
「お父さんに怒鳴られて、本当はすごく怖かった」「お母さんの機嫌を損ねないように、いつも我慢していた」そんな小さな頃の自分を思い出したら、大人になった今の自分が、「怖かったね」「よく我慢してきたね」と、その気持ちを受け止めてあげる。

過去に起きたことは変えられません。でも、あの頃に置き去りにした気持ちは、今の自分が受け止め直すことができます。そうすると少しずつ、目の前の相手を「親と同じ人」としてではなく、その人自身として見られる場面が増えていきます。

別れても同じような人を選んでしまうとき、相手だけを見るのではなく、自分の中にまだ残っている親への気持ちに気づくことが大切だな、と思います。