愚痴の矢は自分に刺さる。だからこそ“少し”減らしてみよう!

気づかないうちに、心を重くしているものがあります。それは「ぐち」です。
誰かに向かって言っているように見えて、一番その言葉を浴びているのは他でもない“自分”なんです。

人は、自分の声を一番近くで聞いています。たとえば「なんで私ばっかり…」「もう疲れた」「どうせうまくいかない」
――こうした言葉は、言った瞬間は少しスッとするかもしれません。
でも、その言葉が自分の胸の奥にじわっと残り、知らないうちに元気を削っていくことがあります。

思い返してみてください。

朝から家族の食事づくり、洗濯、仕事の準備。
バタバタしながら「もう、なんで私だけ忙しいの」とつぶやく。

職場で言われた一言がチクっとして、帰り道に「ほんと疲れる」とこぼす。

夜、片づけが終わらず「もう嫌だ」とため息が出る。

ぐち自体が悪いわけではありません。人は、しんどい時に本音を少しこぼすことで、心を守っています。
でも問題は、“その時間が長くなること”なんです。

ぐちを言っている間、私たちはずっと自分にこう言い聞かせています。

「私はつらい人」「私は報われない人」「私は大事にされない人」

この言葉を毎日、自分の耳に入れ続けていたら、“心の流れ”が濁ってしまいます。

私のクライエントさんにも、こんな方がいました。

ある日、「最近、家に帰るだけでしんどい」と話されました。
理由を聞くと、「仕事が大変で、帰り道にずっと“疲れた、嫌だ”とつぶやいている」とのこと。
そこで「帰り道のぐちを1分だけにしてみませんか?」と提案しました。

彼女は“1分だけぐちOK”と決め、1分過ぎたら深呼吸して「今日もよく頑張った。ありがとう」と一言添えるようにしました。
すると一週間でこう言われました。
「家の空気が軽くなりました。自分の中が少し明るい感じです」と。

また、別の方は、「愚痴っぽくなっていたら教えてね」と家族にお願いしたんです。
夫から「今ちょっと暗い話が続いてるよ」と言われると、「あ、そうか」と気づけるようになったそうです。
注意されるというより、優しい合図のように使っていました。

人って、自分の“クセ”にはなかなか気づけません。
だからこそ、信頼できる人にそっと教えてもらうのは、本当に大きな助けになります。

それでも、どうしてもぐちが出る日はあります。それでいいんです。

大事なのは、「言ったあと、どうするか」。

ぐちを言ったまま終わるのではなく、最後にひと粒だけ“プラスの言葉”を置く。

たとえば「でも、今日もここまでできた」「あの人に支えてもらっている」「ありがとう」

たったこの一言で、心の中のバランスがゼロに戻ります。

マイナスのまま抱え込まない。それだけで、翌日の気持ちが全然ちがいます。

私たちは毎日、たくさんの役割を背負っています。
家族を支えること、仕事をすること、周りに気をつかうこと。
その中で気づかれない疲れもたまっていきます。
だからこそ、「ぐちをゼロにしよう」と頑張る必要はありません。

むしろ、“言いすぎない工夫”を少しだけ持っておく。

・ぐちの時間を短くする

・誰かに合図をお願いする

・言った後は、ありがとうで締める

この3つを意識するだけで、心の中の空気が軽くなります。

言葉は、毎日、自分の心の中に積み重なります。

ぐちを少し減らすだけで、自分の内側が明るくなり、その明るさが行動に広がり、人間関係にもじんわり影響していきます。



今日、あなたが口にする一言が、あなた自身の明日をつくります。

だからこそ、ほんの少しだけ、言葉を大切にしてみてください。