
「幸せになりたい」
一見、とても前向きな言葉に聞こえます。
でも私は、この言葉を何度も口にしている時は、
少しだけ立ち止まってみてもいいのではないかと思っています。
なぜなら、「幸せになりたい」という言葉の奥に、
「今の私は、まだ幸せではない」
という気持ちが隠れていることもあるからです。
もちろん、
もっと楽しく生きたい、もっと心地よく暮らしたいと思うことが
悪いわけではありません。
ただ、「いつか幸せになれたら」と未来ばかりに意識が向いていると、
今すでにある小さな幸せに、気づきにくくなることがあります。
たとえば、朝起きた時。
少し体が重い。
外は曇っている。
今日は仕事に行きたくない。
そんな朝もあります。
そんな時に、無理に元気になる必要はありません。
「今日はしんどいな」
そんな自分の気持ちも感じながら、
「ああ、今日も目が覚めた。幸せだな」
と、声に出してみる。
そうすると、さっきまで「嫌な一日が始まる」と思っていた気持ちの中に、
ほんの少しだけ違う感覚が入ってくることがあります。
「まあ、今日も一日やってみようかな」
そんな気持ちになれたら、それで十分なのだと思います。
幸せというと、
私たちはつい「大きな出来事」を思い浮かべがちです。
家族みんなが仲良しで、
お金にも困らず、
体も元気で、
仕事もうまくいっている。
そんな状態になって、
はじめて「私は幸せ」と言えるような気がしてしまうことがあります。
でも、すべてが整っている日は、そう多くありません。
だからこそ、
もう少し身近な「小さな幸せ」に目を向けてみるのもいいのではないでしょうか。
スーパーで好きなお菓子を買えた。
友人からLINEが届いた。
帰り道に、きれいな夕焼けを見た。
誰かが淹れてくれたお茶がおいしかった。
家に帰って、ほっとひと息つけた。
そんな何気ない出来事も、「幸せ」と呼んでいいのだと思います。
「今日は何が足りなかったんだろう」と考えるだけではなく、
「今日、私のまわりに何があったかな」と振り返ってみる。
夜、布団に入った時に、
「今日も一日過ごせた。ありがとう」
と言ってみるのも、ひとつの方法です。
もちろん、どうしてもそんな気持ちになれない日もあります。
腹が立った日。
悲しかった日。
誰かのひと言に傷ついた日。
そんな日に、
無理をして「私は幸せ」と思い込む必要はありません。
腹が立った自分も、悲しい自分も、そのままでいいのです。
その気持ちをちゃんと感じたうえで、もし言えそうなら、
「いろいろあったけど、それでも今日を生きた。ありがとう」
と口にしてみる。
それくらいでもいいのではないでしょうか。
「幸せになりたい」と幸せを未来に置くことも悪くありません。
でも時々、
「今の私の中にも、幸せと呼べるものがあるかな」
と探してみる。
そして見つかった時には、少し照れくさくても、
「ああ、幸せだな」
と口にしてみる。
そうやって、すでにあるものに気づく時間が少しずつ増えていくと、
「幸せ」というものが、以前より身近に感じられるようになるのかもしれません。