「親との同居、なぜそんなにいけないの?」
そう問いかけられた時、
「家賃もかからないし、安心できるし、親も喜んでるし…」と、メリットばかりが浮かんできます。
でも、心のどこかで感じていませんか?
「なんだか、自分の人生が止まってしまっている気がする」と。
たとえば、ひとり暮らしをしている人が「今日、こんなことがあったんだよ」と、誰かに話したくなった時、
話す相手がいないことがふと寂しくなり、それがきっかけで「パートナーが欲しいな」「新しい家族を作りたいな」
と思うようになります。
一方、親と同居していると、そうした日々の出来事を“とりあえず親に話す”ことで完結してしまいます。
親との間にある「安心」や「気軽さ」が、あなたの中の“前に進むエネルギー”を、知らず知らずのうちに
静かに消してしまうのです。
また、母親にとっても、子どもと同居し続けることには影響があります。
一度、夫よりも子どもを優先する生活が定着してしまうと、夫婦として再び向き合うタイミングを失ってしまうのです。
けれど、子どもが家を出た後、母親が「主人って、何が好きだったかしら?」と思い出すようになると、
そこから“新しい夫婦関係”が始まります。
新婚当時のように、ふたりで食事を作ったり、旅行の予定を立てたり・・・。
それは、老後という長い時間を、夫婦ふたりでしっかり生きていくために、とても大切なリハビリのような時間です。
60代のクライエントの女性は、息子が独立したことで、夫婦の会話が徐々に増え、週末には一緒に散歩するのが楽しみに
なったとのこと。
「子どもがいたときは、“お父さんなんてどうせ何もしてくれないし”って決めつけてましたけど、子育てに一生懸命に
なっていたので、いつの間にか、夫と話をすることを忘れていたんです。「今では笑い話ですが、息子がひとり暮らしを
始めてくれて、やっと気づきました!」と笑って話してくれました。
親との同居をやめて、ひとり暮らしを選ぶのは、冷たいことではありません。
むしろ、“自分の人生を自分の足で歩むための第一歩”。
そして、親にとっても、夫婦としての人生を再スタートする、かけがえのないチャンスなのです。