本当に「私の人生」を歩けているかな?
気づけば一日の予定が、親の用事と子どもの用事でいっぱい。
それ自体は素晴らしいことなのに、夜になると「今日は私のための時間が一分でもあったかな」と胸の奥が少しだけ冷える——そんな日が続いていませんか。
親の介護をするのも、子どもや孫と過ごすのも大切です。
でも、全部が家族の予定で埋まると、少しずつ“私らしさ”が薄くなります。たとえば、病院の付き添いを毎回フルで行くのではなく「初診と説明の日だけは私が行く。定期の受診はヘルパーさんにお願いする」と決めてみる。買い物は一緒に行く日を週1にして、他の日はネットスーパーに切り替える。小さな見直しでも、心に息継ぎができます。
子どもからの「ちょっと手伝って」の連絡に、いつも即答で動いてしまうなら、返事の仕方を少し変えてみましょう。
「今日は30分ならOK」「明日なら半日空けられるよ」。
できる範囲をはっきり伝えると、相手も予定を組みやすくなり、あなたの体力も気力も守られます。
家の中にも“私だけの場所”を用意します。椅子ひとつとノートだけで構いません。朝か夜の15分、そこに座って「今日は何がうれしかった? 何に疲れた?」と静かに書く。それだけで、自分の声が少しずつ戻ってきます。
予定帳の最初に、家族の予定ではなく“自分の予定”をひとつ書く習慣もおすすめです。散歩でも、図書館でも、好きなカフェでもいい。先に書いておくと、不思議と守りやすくなります。
断るのが苦手な人は、言葉をあらかじめ用意しておきましょう。
「今回は難しいけれど、◯日なら手伝えるよ」
「今日は体が重いから、明日にしてもいい?」
やさしく、でもはっきり。これで関係が悪くなることはありません。むしろ、長く良い関係でいるための“約束”になります。
親のためでも、子どものためでもなく、「私が選んだ」と感じられる瞬間が一日に少しでもあれば、心は元気を取り戻します。冷たく離れることが目的ではなく、あたたかく近づくための“余白”をつくること。その余白に、あなたの人生がちゃんと息づきます。
今日できるのは、たったひとつで十分。
予定帳に“私の時間”を15分、先に書いてみる。
そこから、明日が少し変わります。