問題が山積みのときほど、“本当に大切なこと”から逃げない

 

子どもが不登校になっている。

夫には本音を相談できない。

母との関係も、ずっと重たいまま。

そんなふうに、いくつもの悩みを抱えて来られる方がいます。

どれも気になる。

どれも放っておけない。

でも、悩みが多すぎると、何から手をつければいいのか分からなくなります

以前、ある方に

「今、どこから解決に向かいたいですか?」

と尋ねたことがありました。

すると返ってきたのは、

「実家の片付けをしたいです」

という答えでした。

もちろん、実家の片付けも大切です。

けれどその方が本当に苦しんでいたのは、

子どものこと、夫婦のこと、母とのことでした。

人との問題は、しんどいものです。

相手がいるので、自分だけの努力では進まない。

話しても分かってもらえないかもしれない。

むしろ、傷つくかもしれない。

その点、片付けはまだ分かりやすい。

手を動かせば進む。

終わった場所は目に見える。

「何かできた」という安心感も得られます。

けれど、問題が山積みのときほど、

私たちは無意識に、

本当に痛い場所ではなく、取り組みやすい場所へ向かうことがあります。

たとえば、

夫にずっと言えなかった思いがあるのに、

その話は避けたまま、家の中を必要以上に整え始める。

子どものことで不安がいっぱいなのに、

学校や将来の話をじっくり考えるのが怖くて、

検索ばかりして一日が終わる。

母との関係に長く傷ついてきたのに、

そこには触れず、「私がもっと大人になれば」と

自分を納得させようとする。

こういうことは、決して怠けでも逃げ癖でもありません。

それだけ、心が疲れているのです。

本当に大切な問題ほど、向き合うには勇気がいります。

でも、人生を変えていくためには、

“やりやすいこと”ではなく、

“今の自分をいちばん苦しめていること”を見ないふりしないことが大切です。

全部を一度に解決しなくていいのです。

ただ、自分にこう聞いてみてください。

「これが少しでも動いたら、私はいちばん楽になるのは何だろう?」

「ずっと気になっているのに、見ないふりをしていることは何だろう?」

「本当は、ここから変えたいと思っているのではないか?」

優先順位を決めるとは、

用事を上手に並べることではありません。

自分の人生にとって、今いちばん大切な問題を選ぶことです。

夫との関係に向き合うことかもしれません。

子どもの状態を、一人で抱え込まないと決めることかもしれません。

母との距離を見直すことかもしれません。

そこに目を向けた瞬間、

すぐに答えが出なくても、人生の向きは変わり始めます。

問題が多いときほど、

つい「できそうなこと」から片付けたくなります。

けれど、それだけでは、心の重さはあまり変わらないことがあります。

本当に幸せに近づきたいなら、

今の自分がいちばん避けていることの中に、

次の扉が隠れているのかもしれません。